国際ビジネスにおける国際弁護士の役割②

国際ビジネスにおける国際弁護士の役割②

国際弁護士(国際弁護士という呼び方については別稿で説明しておりますが、ここでも便宜上、そのように呼ばせていただきます)は、海外展開のすべてのフェーズにおいて関与します。
想定されている海外展開のスキーム作り(供給契約や代理店契約のような間接進出がよいのか、現地法人を設立する直接進出がよいかなど)に始まり、秘密保持契約から取引の基本となる契約等のドラフトや交渉、親会社との取引の調整、現地拠点を設置するときの手続の代行、現地の法規制のチェック、現地でトラブルが発生したときの対応、そして不運なことに撤退することに至った場合の手続の代行などです。

契約書の交渉も、日本では、トラブルにもなっていないのに弁護士が関与することは稀ですが、海外、特に欧米系とのビジネス取引では珍しいことではなく、早い段階から弁護士が関与しても「当社を信用していないのか」などとは言われません。むしろ、先方は当然に早い段階から弁護士に相談しているとお考えいただくべきで、そうすると、もし当方が丸腰であれば、その時点から勝負が決まっているということになります。

こうした一連の作業は、単に弁護士資格を持っていればできるわけではなく、国際取引法務に精通することはもちろん、英語力、そして外国の専門家とのネットワークなどが揃っている国際弁護士でなければ難しいものです。

ただ、国際弁護士であれば誰でも何でもできるわけではありません。時折、「国際弁護士って、世界中の法律を全部知っているのですか?」というご質問をお受けしますが、そのようなわけではありません(汗)。ひとつの国の法律ですら網羅することは至難ですので、世界中などというのは非現実的です。そこで真価を発揮するのがネットワークです。

上記のフェーズのうち、契約書の作成や交渉をする段階までは、外国の専門家の協力を得ることなく対応できるケースが多いです(外国のM&A案件などは別です)。しかし、海外現地の問題や手続となると、その現地の弁護士や会計士などと連携することが必須となります。どんなに海外の法律を勉強しても、日本の弁護士としては情報量に限界がありますので、現地の専門家から最新の情報を得、また手続を代行してもらうことが必要となります。日本サイドの国際弁護士は、適切な現地の専門家を選別して、依頼者を代弁して指示をし、また現地の法律についてご依頼者に対してわかりやすく説明する役割を果たします。外国の法律事務所はタイムチャージが高額になる傾向もありますので、そのようなフィーマネジメントをすることも重要な役割です。