合弁契約のポイント

外資規制がある場合は必然的に、またそれがない場合でも戦略的に、現地パートナーと合弁会社を設立することがよくあります。しかし、法制度や価値観が違う企業との共同ですので、成功しても失敗しても、経営面や会社の将来についての意見が合わず、トラブルになるケースは多いです。

  • 1.詳細な合弁契約書が必須

    そのため、合弁会社の設立に先立って、詳細な合弁契約書の作成は必須です。合弁契約は、当事者の数、役割、株式割合などによって、そのケースに即してオーダーメードされるべきものです。取り決めるべき内容も多いため、かなり複雑になる傾向があります。

  • 2.定款等とセットで検討

    合弁契約は、株主間の契約として機能しますが、現地法人自体は、現地の会社法制に従って運用されますので、定款や付属定款(Bylaws)に相当する規程類と合わせて検討しなければなりません。

  • 3.現地の会社法等の確認が必要

    また、合弁契約の内容が、現地の会社法制においては認められない場合もありますし、定款等に記載がない事項についても現地の会社法制によって決められますので、それらの確認も必要となります。

  • 4.パートナーのデューディリジェンス

    合弁を組むパートナーについては、財務状況やコンプライアンス状況などについて、予め情報を得て、信頼できることを確認した上で進めることが肝要です。

  • 5.「名義借り」のリスク

    外資規制により、現地の資本が入らなければ会社を設立できないという場合、いわゆる名義貸し、すなわち経営には口を出さず名前だけ貸してあげると提案してくる者がいます。しかし、そうした取決めは通常違法である上、そのような者と安易に会社を設立したところ、法的にはマジョリティの名義貸人に会社を乗っ取られるケースもありますので、応じてはいけません。

  • 6.経営権の確保

    合弁契約では、経営にかかる事項がひとつの重要ポイントとなります。株式においてマジョリティである場合は、それに相応した経営権を確保するべきことは当然です。他方、マイノリティとなる場合は、役員指名権や拒否権を定めることで、少しでも経営、特に重大な決定事項に関する影響力を高めることを目指します。

  • 7.役割分担の明確化

    各株主が担うべき役割についても明記することが望ましいです。これに関連し、ファイナンスに関する責任についても明確にしておくことが紛争防止に役立ちます。

  • 8.株式変動時の対応

    パートナーが株式を譲渡することを希望する時には、自社が優先して購入する権利を定めることが有用です。また、特に株式においてマイノリティである場合ですが、マジョリティの決定で合弁会社が増資されたときに自社の持分割合が希釈化しないよう引受権を確保することも検討するべきです。

  • 9.エグジット戦略の重要性

    合弁契約における最重要ポイントのひとつが出口戦略です。貴社として、利益を確定したい、あるいは損切りしたい等の理由で撤退したいと思っても、パートナーが反対していつまでも拘束されてしまう事態は避けたいところです。従って、結婚前ではありますが、離婚の方法と選択肢を詳しく取り決めておくことが肝要です。具体的には、自社の保有株式をパートナーに買い取ってもらう権利(プットオプション)を定めたり、所定の事由が生じたら解散できるようにすることを検討します。

  • 10.自社と合弁会社との契約

    合弁会社とは、自社も様々な取引を行うことが通常といえますが、これをグループ内取引のように気楽に考えて契約書を作らないのはいただけません。合弁会社には他人資本が入っていることを自覚し、売買、販売代理、生産委託、ライセンス等についてきちんと契約書を整えるべきです。