他の士業との使い分け (1)

ナントカ士と名のつく資格業は弁護士の他にもたくさんあります。
税理士、行政書士、社会保険労務士、司法書士、弁理士、不動産鑑定士、中小企業診断士などなど。

そのなかで、経営者の皆様にとって、もっとも身近な存在は、税理士や社会保険労務士だと思います。経営規模が小さくても確定申告はしなければなりませんので、税理士は経営を始めておそらく最初に縁のある士業でしょう。また、人を雇用すると、社会保険や給与計算などの処理が必要となり、社会保険労務士との接点ができます。こうした士業とは、日常的なやりとりも多いことから、早い段階で顧問契約を締結することになると思います。

許認可などが関わる業態では、行政書士に相談するのが近道であることが多いです。知的財産に関わる仕事では、早い段階から弁理士との接点ができます。また、不動産関係であれば、登記を専門とする司法書士や、不動産鑑定士との付き合いが自然と生まれます。なお、こうした業種とは、顧問契約というより、スポットの依頼をするほうが多いと思われます。

こうした士業はいずれも法律に関する国家試験を前提としていますから、ある程度、法律に関する知識も有しています。また、普段から身近にお付き合いされていますので、困ったことがあったらとりあえず相談できる存在として重宝されているのではないかと思います。

またこれは個人差がありますが、基本的な契約書の作成なども対応してくれることもあると思います。

もちろん、そのような守備範囲の広い方とお付き合いされているのであれば、場面に応じてぜひご活躍されるのがよいと思います。

でも、そうすると、顧問弁護士など要らないような気がするかもしれませんが、そんなことはありません(笑)。
では、弁護士はどのような場面で活用するのがよいのでしょうか?
「訴えられた時」「トラブルになったとき」などが思い浮かぶ方が多いかもしれません。それはそれで正しいのですが、それらは究極の場面です。実際はもっと日常的に積極的にご利用いただくのがよいと思っています。次回はこの点についてご説明したいと思います。

監修記事
樋口一磨

樋口国際法律事務所代表 樋口一磨

慶応義塾大学、一橋大学大学院、ミシガン大学ロースクール卒業。 日本とニューヨーク州の弁護士資格を持つ国際弁護士として、国際取引や海外展開の支援に強みを持ち、企業法務全般から身近なトラブル解決まで、国内・国外を問わず幅広い分野を親身にサポートする。

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