国際ビジネスにおける国際弁護士の役割①

国際ビジネスにおける国際弁護士の役割(1)

国境を超えてビジネスを展開するにあたり、国際法務に精通した弁護士(国際弁護士という呼び方については別稿で説明しておりますが、ここでも便宜上、国際弁護士と呼ばせていただきます)のサポートを受けることは必須です。

これまで国内でのみビジネスをされてきた企業様の中には、長い社歴の中で、信頼関係をベースにビジネスを発展され、特に過去にトラブルもなく過ごされてこられたことから、海外展開も同じ感覚で進められようとする方がよく見られます。そのような経営をされてきたことは本当に素晴らしいことで、また信頼関係を大切にする日本の文化は誇るべきものと思いますが、実際には、そのような文化や感覚は、この国を一歩出れば通じないものであり、とても危険です。

歴史的背景、文化、宗教、言語など、何から何まで違う外国の企業の考え方が、日本のそれらと大きく異なることは、冷静に考えてみれば当たり前なのですが、平和な日本という島国にいると、そうはいっても同じ人だから、という楽観的な考えに陥りがちです。

このように、いわゆる阿吽の呼吸が通じない、相手がこちらのことをきちんと理解してくれているか定かでないということを前提としますと、取り決めたことをきちんと契約書などの書面に残すことが極めて重要となります。そして、その契約書は、単に「形があればよい」というもの(このようにお考えになる経営者様も大変多いですが、危険です)ではなく、合意したことを正確に実態に合わせて記載することはもちろん、紛争も想定し、いざというときは自社に有利になるような内容としておくことが大切です。

そのようなサポートは、国際弁護士でないとできません。日本の国内案件のみに対応している弁護士は、一般的な契約書はもちろん対応できますが、国際取引の特徴や国際的な紛争については明るくないことが多く、また英語力の問題もあります。海外展開は、早い段階から国際弁護士にご相談になり、先手を打って自社の権利を守りながら進めることが肝要です。

監修記事

樋口一磨

樋口国際法律事務所代表 樋口一磨

慶応義塾大学、一橋大学大学院、ミシガン大学ロースクール卒業。

日本とニューヨーク州の弁護士資格を持つ国際弁護士として、国際取引や海外展開の支援に強みを持ち、企業法務全般から身近なトラブル解決まで、国内・国外を問わず幅広い分野を親身にサポートする。

事案を問わず、そして国内外を問わず、お気軽にご相談

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