弁護士のセカンドオピニオンの役割と依頼するメリット・デメリット

弁護士のセカンドオピニオンとは?

セカンドオピニオンとは?

セカンドオピニオンとは、他の専門家にすでに相談している事柄、あるいはすでに依頼して進行中の案件について、別の専門家に意見を求めることをいいます。

医療などの世界ではよく耳にします(それでも、実際にセカンドオピニオンを求める人は多くないかもしれません。人体に直接影響する医療においては、セカンドオピニオンはより重要だと思うのですが。)が、法務を含めた他の専門家の世界でもセカンドオピニオンはもちろん可能です。

弁護士のセカンドオピニオンを探すケース

最初に相談した弁護士の意見が正しいか、依頼している弁護士の方針で大丈夫なのか、不安に思うことがあると思います。

不安とまではいかなくても、安心したい、確証を得たい、ということもあるでしょう。

そのような時は、他の弁護士に同じ相談をしてみたり、進行中の資料や依頼済弁護士とのやりとりを検証してもらうとよいでしょう。

また、ご依頼者にとっては、弁護士との信頼関係を築けるかが極めて大切です。信頼できない弁護士とは、本音で語り合うことができませんので、納得できる結果を期待することはできません。

もし、今の弁護士に対して全幅の信頼を置けていない、遠慮して話せない、聞けないことがある、という場合は、別の弁護士をあたってみた方がよいかもしれません。

弁護士によって結果が変わることもある

法律事務所に持ち込まれる案件には、実に様々なものがあります。弁護士が担当する案件に、同じものは二つとありません。

ですので、どの弁護士が対応しても結果がさほど変わらない案件もありますが、担当弁護士によって進め方や結果が大きく変わることもよくあります。

一般の方は、「法律という絶対的な基準がある。だからどの弁護士が対応してもあまり変わらないだろう。」と思われるかもしれません。

しかし、実際は、法律というのはトラブルを解決するためのボトムラインの物差しを提供しているだけであって、すべてが法律とおりに解決されるわけではなく、多くの事案では和解で解決します。

また、法律はすべて文字で書かれていますが、世の中で生起しうる全ての事象に対する回答を明確に書けるわけではありません。

六法全書というのは分厚い(さらに、そこに載っていない法律も膨大にあります)ですが、それでも細かいルールを作るには限界があるわけです。

そのため、法律の表現は抽象的にならざるをえず、そうすると曖昧さも出てきます。つまり、法律というのは、けして絶対的な基準ではないのです。

また、紛争は必ず人と人との間で起きますが、それぞれの人にはそれぞれの事情や感情があり、仮に法律が明確であっても納得できない、法律通りの結論では本当の解決にならない、ということも往々に生じます。

ですので、私は、法律は、紛争を解決するためのひとつの道具に過ぎないと考えています。

そうなりますと、弁護士の属人的な能力や個性がいかに重要であり、結果に影響しうるかがお分かりいただけると思います。

和解を目指すにしても、どのカードをどのタイミングで切るか、どのようなトーンで臨むか、形式的な法律以外の例えば心情的なわだかまりをどのようにほぐすか、などは、弁護士によって千差万別といえます。

セカンドオピニオンのメリット・デメリット

セカンドオピニオンには、以下のようなメリットとデメリットが考えられます。

メリット

  • ①セカンドオピニオンが、これから依頼しようとする弁護士、または依頼済の弁護士の意見と同じであれば、安心してその弁護士への依頼を進められる。
  • ②セカンドオピニオンが、これから依頼しようとする弁護士の意見と異なる場合、依頼を慎重に検討することができ、残念な結果となることを防ぐことができる。
  • ③セカンドオピニオンが、依頼済の弁護士の意見と異なる場合:
    (弁護士の変更が間に合うタイミングであれば)改めてより信頼できそうな弁護士を選ぶことができる(さらにサードオピニオンを求めてもよいと思います)。
  • ④(弁護士の変更をするにはタイミングが遅い場合)セカンドオピニオンの内容を依頼済の弁護士に伝え、参考にしてもらうことができる。
  • デメリット

  • 依頼済の弁護士が、セカンドオピニオンを求めたことについて機嫌を害することがある。
  • (しかし、それで機嫌を害するような弁護士や、セカンドオピニオンに対しきちんと対応・説明できない弁護士は、言いたいことを言えない弁護士ということになりますので、信頼関係は築けないと思います。)

    セカンドオピニオンを依頼するケースについて

    セカンドオピニオンを依頼するのに適する事案は、一般に紛争系といえます。

    紛争系の方が、選択肢や進め方に多様な考えがありうるためです。

    紛争に至っていない、予防系の案件であっても、もちろんセカンドオピニオンを求めて構いません。

    もっとも、その場合は、セカンドオピニオンというより、相見積もりの性質が強いかもしれません。

    セカンドオピニオンの依頼の方法

    セカンドオピニオンに対応している弁護士に依頼すればよいのですが、既に他の弁護士に依頼済の場合は、その弁護士に気を遣うこともあるかもしれません。

    しかし、その弁護士の承諾を得たりする必要はありません。

    何かしら不安があるからセカンドオピニオンを求めるわけですので、セカンドオピニオンを得た後に、依頼済弁護士との関係は検討すればよいといえます。

    具体的な依頼の仕方は、セカンドオピニオンを求めたい状況や資料の複雑さやボリュームにより、簡単な相談で済む場合は通常の相談料のみで済むこともあるかもしれませんが、ある程度の資料があるときは、まずはそれらの資料を提供して見積もりを得ることになります。

    当事務所のセカンドオピニオンサービスについて

    当事務所は、セカンドオピニオンのご依頼を積極的にお受けしています。

    その結果、当事務所にご依頼いただかないことになっても構いません。

    大切なのはご依頼者の納得感ですので、他の弁護士とより良い関係を築くきっかけとなればそれも幸いです。

    監修記事

    樋口一磨

    樋口国際法律事務所代表 樋口一磨

    慶応義塾大学、一橋大学大学院、ミシガン大学ロースクール卒業。

    日本とニューヨーク州の弁護士資格を持つ国際弁護士として、国際取引や海外展開の支援に強みを持ち、企業法務全般から身近なトラブル解決まで、国内・国外を問わず幅広い分野を親身にサポートする。

    事案を問わず、そして国内外を問わず、お気軽にご相談

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