他の士業との使い分け (2)

前回のコラムでお話したように、税理士、行政書士、社会保険労務士、司法書士、弁理士、不動産鑑定士、中小企業診断士など、他の士業はそれぞれ専門分野を持っています。

それでは弁護士の専門分野はというと…極めて広いのですが(その顕れとして、実は司法試験に合格すると、上記の他の士業の多くにも同時に登録することができます)、究極的には「紛争解決」ということができます。

紛争が生じたときに、代理人として交渉して和解をしたり、また裁判などの手続を利用して強制的に権利を実現することです。

こうした活動は、弁護士法によって弁護士のみができることとされ、弁護士でない方が行うと違法になります。
司法書士や社会保険労務士も、簡易裁判所において一定の範囲で代理ができるようになりましたが、活動できる領域はかなり限定されています。

弁護士の強みは、このように、最終的に裁判等になったときにどうなるのか、ということを考えながら、契約書をドラフトしたり、法的なアドバイスすることができる点にあります。

他の士業の方でも、契約書をドラフトしたり、基本的な法律についてアドバイスすることがありますので、導入段階において身近な顧問の税理士さんや社労士さんにご相談されることは結構なのですが、そうした顧問の方々でもそれが紛争になった場合に対応することはできません。それゆえ最終的な解決までのシミュレーションまでできないという限界があります。

国内、海外問わず、契約書は紛争を予防するためのツールであり、また法律は紛争が生じたときの解決の物差しとなるものですので、きちんと身を守るための契約書を作る場合、また紛争の兆しがある段階で法的なご相談をされる場合は、顧問弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

顧問弁護士がいらっしゃらないときは、顧問税理士や社労士さんに、お知り合いの適切な弁護士を紹介してもらってください。

監修記事
樋口一磨

樋口国際法律事務所代表 樋口一磨

慶応義塾大学、一橋大学大学院、ミシガン大学ロースクール卒業。 日本とニューヨーク州の弁護士資格を持つ国際弁護士として、国際取引や海外展開の支援に強みを持ち、企業法務全般から身近なトラブル解決まで、国内・国外を問わず幅広い分野を親身にサポートする。

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