英文契約書について

英文契約書の位置付け

国際的な取引、つまり異なる国に属する企業同士の取引では、契約書は英文で交わされることが圧倒的に多いと言えます。

日本企業が外国にある企業と契約する場合はもちろんですが、ビジネスが日本国内で行われる場合でも、外国企業の日本法人と取引するいわゆるインバウンド事案では、英語でのやりとりが求められることが珍しくありません。

なぜ英文なのか

なぜ英文かといえば、やはり英語が国際的な共通言語として圧倒的であるためです。

歴史的な背景により英語、フランス語、又はスペイン語が公用語である国同士である場合を除き、国が異なれば、母国語が異なることは当然です。

そのような企業同士がビジネスをするにあたり様々な条件を決める際、誤解やすれ違いを避けるために最も有用なのはやはり英語です。

英文契約書には独特の表現が登場しますが、英文契約の実務は、上記のような理由で国際的に積み重ねられてきていることから、契約の世界でも、契約英語は慣用的な表現などを含め、世界的な共通言語になっているといえます。

世界のビジネス環境は、英国の海運業の発展を皮切りに発展したともいえるところ、そこで利用されていた契約書が当然に英語であったことも寄与しています。

契約における言語選択の注意点

国際的な契約では、翻訳などを含め複数の言語で契約書が作成されることも多いところ、それぞれの契約の記載内容に違いが生じたり、または同じ記載をしているつもりでも意味合いやニュアンスが異なることが想定されるため、どの言語によるものが正本であるか、齟齬がある場合にどれが優先するのかを明記することをお勧めしています。

できるだけ英語を正本とする

日本企業としては、相手企業も日系であるなどして日本語を理解してくれるのであれば、日本語で締結することももちろん可能です。

あるいは、相手国の言語に精通しており、契約書も読みこなせるということであれば、相手国の言語でも構いません。

しかし、それ以外の場合は、英語を正本とすることをお勧めしています。

精通している言語で締結する

絶対に避けなければならないのは、精通していない相手国の言語で締結することです。

知らない間に不利な条件を飲まされている可能性がありますし、翻訳をしながら対応していても、最後に変更されては気が付くことは困難です。

中国人に中国語での締結を求められたり、インドネシアのようにインドネシア語での締結が必要とされることもありますが、そのような場合でも、英語版を正本とし、その他の言語によるものを参考訳として付ける形が望ましいです。

英文契約書の作成時の留意点

英文契約には、独特の表現が多く登場します。

それらは、英米法をベースにして実務を通じて慣例化されてきたもので、使いこなせればよいのですが、慣れるにはある程度の経験が必要となります。

大切なのは、そのような表現を多用することよりも、内容が明確であること、そして表現を統一することです。

内容を明確にする

凝った表現をしようとするあまり、内容がわかりにくくなっては本末転倒です。

誰が読んでも同じ意味を読み取れる書き方をすることが重要です。

文体は平易かつ一般的なもので十分です。

最近の英米ロースクールでの教育においても、従来の古風なものではなく、シンプルなドラフティングが推奨される傾向にあります。

例えば、従来は受動態が多用される向きがありましたが、最近では能動態で書けるものは能動態がよいとされています。

表現を統一する

表現の統一性については、同じ意味を表す場合は同じ単語を使うということです。

例えば、日常語では、義務を表す助動詞はmustですが、英文契約ではshallが使われることが多いです。

しかし、shallでなければいけないわけではなく、mustでもよいのです。

文脈によってはwillでも構いません。

ただ、同じ契約書において、shall、must、willが混在していると、それぞれ違う意味ではないかという余地が生じてしまいます。

こうしたポイントは、日本語での契約書についても同じことがいえます。

国際弁護士に英文契約書を依頼するメリット

契約書は、ただ合意された事柄が記載されていればよいというものではなく、言葉の選択によって権利・義務、責任や負担の意味合いが大きく異なってくるものです。

それらは特に想定外の状況が生じた場合に重みを持つことになります。

契約書の文言は、法律用語を含むことはもちろん、一般的な用語であっても微妙なニュアンスにまで気を配るべきで、それには法律知識と実務経験が求められます。

弁護士は、最終的に裁判官がどのように解釈するかまで想定して言葉を選びます。

こうした点は日本語の契約書でも同じですが、英語になるとその専門性は格段に高まります。

英語力が求められるのは当然ですが、それだけでは足りません(日本人は皆、日本語ができますが、契約書を完璧には作成できないのと同じです)。

国際的な契約実務に精通し、また英文契約の基礎となっている英米法について基本的な知識を有していることが必要となります。

それゆえ、英文契約は国際弁護士にご依頼いただくことが望ましいといえます。

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